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第69回 中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方-2-

【強い組織を作る!人材活用・評価・報酬の勘どころ】

 

(2016年3月)

【第2回 管理職って何だ?】

 こんにちは。人事コンサルタント・CDA・中小企業診断士の渡辺俊です。

 前回は、「中堅・中小企業では、管理職に対する教育の必要性がまだまだ認知されていない、真の管理職になってもらうには相応の教育が必要なのでは?」という問いかけをしました。
 今回は、そもそも「管理職」とは一体何なのかということを考えてみたいと思います。
 これを自分に問いかけてみますと、前職(=人材派遣業、大手企業の子会社)で部下として出会ったリアルな3人の上司の姿が頭に浮かびます。
 あらためて思い起こしてみると、まったくタイプの異なる3人でした。

 一人目の上司は、私を採用してくれた人です。
 当時は東京支社長でしたが、後に社長に就任しました。
 グループ企業の人材確保をミッションとする会社で、経営の実権は親会社が握っていましたので、社長と言っても、いつも親会社や取引先(大半が親会社とグループ企業)、プロパー社員、派遣社員の間に立ち、次から次と発生する小さな問題を解決することに追われていました。また、オブラートに包んだような独特な表現を多用し、はっきりした物言いをしない人でした。
 一方的な意思決定をすることはなく、何事も合議で取り決めていました。部下から見ると考えていることがわかりにくいという面もありましたが、そのスタイルこそが、部下に対する細やかな心遣い、気配りだったのだと思います。

 二人目の上司は、私が入社した翌年、親会社から転籍してきた人です。
 もともと経営を強く志向している人で、会社を拡大・成長させるべく、従来からの価値観や組織風土に埋もれることなく、斬新な考え方ややり方、突飛なアイディアをストレートに組織に持ち込みました。
 また、経験や能力が明らかに不足している社員にも、自分でやってみせながらチャレンジさせる人でした。思うがまま、奔放に組織を主導した結果、たくさんの軋轢も生み出しましたが、その一方で、社員を目覚めさせ、仕事や会社に向き合うスタンスを大きく変えたのも事実です。
 私が今こうして、企業の人事や経営に関わる仕事をしているのも、この上司が、事業や経営に対する興味関心を引き出してくれたからだと思っています。

 

 三人目の上司は、私が採用した人です。
 初めは地方の事業所で勤務していましたが、徐々に頭角を現して事業所責任者となり、後に東京に異動、私の上司になりました。しくみやルールをしっかり作り、決めた通りに運用し続けていくことで、きちんと収益を確保していました。
 数値管理を重要視していましたので、管理部門を任されていた私は、管理資料の精度の維持と納期厳守に追われていた覚えがあります。実績をはっきり突きつけられる毎月の進捗管理会議は、緊張に満ちていました。
 また、今ここで手短かに相談したいようなことでも、「アポをとってからにしてくれ」というような人でした。社内の空気はピリピリしていて居心地がよかったとは言えませんが、業績は着実に維持・向上させていました。

 この3人の上司のタイプを言葉で表すと、一人目は「調整者」、二人目は「変革推進者」、三人目は「管理者」と言えます。そしてそれぞれが、「管理職とは何か?」という問いへの答えであるように思います。
 さまざまなステークホルダーが存在する事業活動では、常に各関係者の声に耳を傾けながら、複雑に絡み合う利害を巧みに調整し、よりよい着地点を見つけていかなくてはなりません。また、社会や顧客に価値ある存在と認められ続けていくには、経営を取り巻く環境変化を敏感に察知して、現状に甘んじることなく次に目指すべき方向を示し、メンバーを巻き込み、動機づけて、共に変化・成長し続けなければなりません。
 さらに、会社が将来にわたって存続していくためには、堅実に日々の事業運営を継続し、厳しく利益を追求していくことも欠かせません。

 3人の上司は、私が偶然に出会った人たちではありますが、3人のタイプを組み合わせると、あるべき管理職像をほぼ表していると言えるのではないでしょうか。それぞれ、「調整者」「変革推進者」「管理者」としての側面が際立って見えていましたが、実は3人とも、3つの側面をすべて持っていたのではないかと思います。
 ただそれぞれが持っている管理職像や、管理職としての役割認識が違っていたため、それが言動の違い=タイプの違いとなって表れていたのではないかと思うのです。

 皆さんの上司も、3つのタイプのいずれかに当てはまるような気がしませんか?
 今回は、私自身の経験の中から「管理職」というものを見てきました。そしてぼんやりとではありますが、その輪郭が見えてきたように思います。
 次回以降は、これまでいろいろな経営学者や専門家によって語られてきた「管理職像」を振り返り、その真の姿に迫っていきたいと思います。

強い組織イラスト 上司.jpg

 ちなみに、3人の上司のもとで働いた7年間は、私自身も管理職であり、数人の部下を持っていました。
 では私自身はどんなタイプの管理職であったのか?
 実はいくら考えても、フィットする言葉が見当たりません。考えれば考えるほど、プレイヤーとしての自分ばかりが思い出されます。営業部門でも管理部門でも、責任者を名乗りながら、バリバリに現場業務に埋没している私でした。
 人手が足りないからと理由づけていましたが、実は部下に任せることが、得意でも好きでもなかったというのが本当のところです。大局を見ながら判断や指示をするより、実務そのものを突き詰める方が、私にとって面白いことだったのです。
 特に管理部門の時代はそうでした。小さな会社の管理部門は、財務・経理、総務、法務、人事、ITと、相当に幅広い専門領域をカバーしなければなりません。実務担当者は居たものの、自分が突っ込んで詳しく理解しないと気が済まない私でした。
 少なくとも、親会社の専門部署の方々や、顧問やコンサルタントなど専門家の方々と、対等に話したいという思いが強くありました。さまざまな領域で今まで知らなかったことを知ること、探求していくことは、すごく難しくて大変なのですが、その一方で面白くて夢中になっていたことを思い出します。
 そうか、そんな私だからこそ今、「管理職」ではなく「専門職」として働いている・・・・。
 と、妙に納得したところで、この続きは次回にゆずりたいと思います。

本連載は、下記の当社コンサルタントが順次、執筆いたします。
菊谷寛之(代表)
渡辺俊(中小企業診断士)
田中博志(中小企業診断士)
津留慶幸(社会保険労務士)

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