1. プライムコンサルタント
  2. 人材マネジメントセミナー
  3. 第52回 大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくり-1-

プライム特選情報

第52回 大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくり-1-

【強い組織を作る!人材活用・評価・報酬の勘どころ】

 

(2015年6月)

1.はじめに

皆さんこんにちは。コンサルタント・社会保険労務士の津留慶幸と申します。
 人事ご担当者の多くは、賃金改定や新卒社員の受け入れ・研修などが一息ついたころでしょうか。
 会社によっては、夏期賞与のための事務作業が佳境を迎えているかもしれませんね。

 さて、世間では今年も賃上げが大きな話題となり、実際、大手企業を中心に昨年以上の賃上げが行われました。
 その様子は報道でも大きく取り上げられ、景気の良い数字がニュースや紙面を賑わせていたことは記憶に新しいと思います。
 実際にどの程度の賃上げだったのか、下表は各機関の集計をまとめたものです。
 組合がある企業を中心とした調査ではありますが、いずれも昨年より高い賃上げ額であることがわかります。

第52回図1.jpg

 私たちのところにも、規模の大小や業種を問わず、賃上げに関する多くのご相談がありました。
 詳しくお話を聞いてみると、少子高齢化による人出不足や東北地方の復興、東京オリンピックなどの影響で、業界・業種・地域によっては採用競争が激化し、人材の流動化も始まっているようです。
 そういった状況に対応するために、中小企業にも例年以上の賃上げに踏み切られたところが一定数あると思われます。
 皆さんの会社の中にも、大企業並みではないにしても、また、いわゆる一律の「ベア」でないにしても、若年層の賃金を改善したり、賞与水準の引き上げを約束するなど、何らかの対応をされたところがあるのではないでしょうか。

 しかし、実際に賃上げを行った企業の全てが、業績好調というわけではありません。中には、円安による原材料費の高騰や消費増税後の販売減、人手不足による人件費の上昇や稼働率の低下などのために、収益力が悪化している企業も少なくないはずです。
 それでもなお賃上げを実施されたのは、採用難や他社への人材流出の防止だけでなく、消費増税後の社員の生活への配慮など、各社それぞれの背景があると思います。

 いずれにせよ、厳しい環境の中であえて賃上げを行う以上、その効果を最大限に引き出し、将来の収益向上につなげていく必要があります。
 それができなければ、長期的な人件費コストの増加となり、収益力を損ねるだけになってしまいます。

 では、賃上げが収益力の向上につながるようにするためには、何をすれば良いのでしょうか。
 実は、当社では先日(2015年5月19日)、「大切な昇給を売上アップにつなぐ仕組み作り」と題して、セミナーを開催しました。
 もちろん皆さんの会社でも、商品力の強化や営業提案の改善、製造工程の見直しなど、本業に直接関わる工夫はされていると思いますので、今回から始まるシリーズでは、当社が得意とする「人事・人材・組織」におけるポイントの考え方やノウハウについて、上記セミナーでお話しした内容を中心にご紹介していきたいと思います。

2.大企業の好業績を自社の好業績につなげるために

 円安、輸出増、株高による好業績を背景に、大手企業で積極的に賃上げが行われたのは前述のとおりです。
 「大企業だけの話」「地方には関係ない」との声も聞かれますし、確かにその傾向はあるのでしょう。
 しかし、現実に昨年よりも大きな賃上げを行った企業が増え、それだけ消費に回るお金が増えることも事実です。
 また、賃上げだけでなく設備投資への意欲も高まっています。設備投資が増えれば、関連する企業の売上にも好影響を与えるはずです。

 ただ、お金の回り方がよくなったといっても、それで全ての企業の業績が上向くわけではありません。
 個人消費の回復や設備投資で生まれる「資金」は、全ての中小企業に万遍なく行きわたるわけではなく、そのチャンスをつかむ準備ができているかどうかによって、恩恵を受ける企業とそうでない企業との差が広がるのではないでしょうか。
 中小企業は特に、チャンスをつかむためにいま何が大切なのかを真剣に考える必要があります。
 それは凄腕のセールスマンを雇うことでしょうか、それとも天才的なひらめきをもった開発者を雇うことでしょうか。
 これらの方法も間違ってはいないと思いますが、いきなりそんな優秀な人材を探しても、簡単に見つかるものではないでしょう。

 さらに、環境変化のスピードは速く、個人の知識・能力のみで対応できることは以前に比べて相対的に小さくなってきています。
 優秀な個人に頼る方法で一時的に売上や利益を伸ばしたとしても、それが「個人の能力」にとどまっている限り、長続きする保証はありません。

 時代の変化を確実につかみ、企業が成長していくためには、人材を確保するだけでなく、その人材の意識・能力を高める人的投資を進め、顧客満足を確実に増大させることのできる組織に変革し続けることが求められています。
 せっかくの賃上げを単なる人件費コストの増加に終わらせないためにも、賃上げを人材育成と組織開発に連動させ、投資効果を最大限回収できる「人事の仕組み」を作る必要があります。

 具体的にどのような仕組みが良いのかは、いずれ詳しく話をしていきますが、次回はまず、賃上げが売上アップにつながるまでの大まかな流れと、そのために人事制度の果たす役割について話しをしていきたいと思います。

※本稿は、2015年5月19日に開催した当社主催のセミナー内容をもとに執筆しています。

本連載は、下記の当社コンサルタントが順次、執筆いたします。
菊谷寛之(代表)
渡辺俊(中小企業診断士)
田中博志(中小企業診断士)
津留慶幸(社会保険労務士)

このページの先頭へ