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第21回「休暇・休業1」~駆け出し人事コンサルタントの学習・成長ブログ~

【強い組織を作る!人材活用・評価・報酬の勘どころ】通算第118回

(2019年5月)

こんにちは。人事コンサルタント(社会保険労務士・中小企業診断士)の古川賢治です。



 前回は、賃金支払方法の規制について、法改正に向けた最新の動きを交えて学習しました。
 今回は、休暇・休業について学習します。労働法に定められた休暇・休業にはどのようなものがあるのか、全体像を見た後に、年次有給休暇に関する基本を解説します。

1.


休暇・休業とは

今回は、「休暇・休業」について学習します。突然ですが、労働契約における休暇・休業とは何を意味すると思いますか?


あまり深く考えたことはないですが、企業からもらえる特別な休みのことだと思います。


半分正解、といったところですね。


半分ですか...なかなか難しいですね。


法的に言うと休暇・休業とは、「労働の義務を負う日(労働日)に労働義務が免除される日」のことです。


労働義務を負う?それが免除される?まだよく理解できないのでもう少し詳しく教えてください。


労働の義務を負う日(労働日)とは、労働者が勤務しなければならない日のことです。反対に、労働の義務を負わない日もあるのですが、これは休日(勤務する必要のない日)と言います。そして、労働日における労働義務が免除される日のことを休暇・休業と言います。


休日と休暇・休業、どちらも同じ休みのことではないのですか?何が違うのでしょうか。


結果的に労働義務がないという点では同じですが、もともと労働義務があったのかどうかという点で異なります。休日はそもそも労働義務がないのです。しかし休暇・休日は、本来は労働義務のあった日にそれが免除されているのです。


休日 休暇・休業
労働の義務 なし 本来はあるが免除される

なるほど。休暇・休業の意味はわかりましたが、休暇・休業には具体的にどのようなものがあるのですか?


休暇・休業の種類

休暇・休業にはさまざまあるのですが、大きく分けると、次の図表のように法定内の休暇・休業と法定外の休暇・休業の二つに分けることができます。ここで言う法定内とは法律に定められていることを表し、法定外とは法律に定められていないことを表します。


法定内の休暇・休業 法定外の休暇・休業
  • 年次有給休暇
  • 産前産後休業
  • 生理休暇
  • 育児休業
  • 介護休業
  • 子の看護休暇、介護休暇
  • 法定内の年次有給休暇を上回る有給休暇
  • 慶弔休暇
  • 病気休暇
  • リフレッシュ休暇
  • ボランティア休暇など

いろいろとあるのですね。法定外のものについては、企業がそれを設けるか設けないかを任意で決められるのですか?


はい。企業が自由に決められますので、労働者のニーズに応えて様々な休暇・休業制度を設けている企業もあります。こうした企業は、福利厚生が充実していると見られることが多いようです。


法定内の休暇・休業には子の看護休暇というものもあるのですね。


はい。法定内の休暇・休業については、労働法によって労働者の権利として保障されていますので、労働者からの請求があれば拒むことはできません。


制度を定めていなかったり、規則・規程を設けていなかったりする企業でも、労働者は法定内の休暇・休業は請求できるのですか?


もちろんです。法律で明文化されていますので、法定外の休暇・休業とは違い、対象となる労働者には最低限度の基準が適用されます。


各休暇・休業の内容についてもう少し詳しく教えてください。


法定内の休暇・休業の基準

法定内の休暇・休業の中でもいくつか種類がありますので、それぞれ解説していきますね。なお、法定外の休暇・休業については個別性が高いので、ここでは詳細は述べません。


わかりました。まず、年次有給休暇とはどのようなものなのですか?


年次有給休暇

年次有給休暇(以下、年休)とは、「労働者の心身をリフレッシュさせ、労働力の維持培養を図ることを目的にして定められている、有給の休暇」です。


有給の休暇とはどういう意味でしょうか?


文字どおり「給与が有る」という意味です。つまり、休んでもその日の給与が支給されます。1日休むとその日の分の給与を欠勤控除しているような企業であっても、年休によって休暇を取得した場合は欠勤控除できず、給与を支給しなければなりません。


反対に、無給の休暇というものもあるのですか?


はい。詳しくは次回に触れますが、育児休業等は無給でも構わないとされています。それに対し、年休は有給であることが法律で定められていますので、仮に1か月間まるまる年休で休んだ労働者がいたとしても、給与は支給しなければなりません。


なるほど。年休は、どのような労働者が使用できるのですか?


年休が付与されるのは、「雇い入れ後6か月間継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した労働者」です。この発生要件を満たした労働者には、まず10日間の年休が付与され、翌年以降は勤務年数に応じて最大20日まで付与されます(下図参照)。


継続勤務年数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月
付与日数 10 11 12 14 16 18 20

年休の付与の対象となる労働者には、パートタイム社員や継続雇用社員も含まれるのですか?


はい。一部のパートタイム社員には「比例付与」という仕組みが適用され、所定労働日数に応じて上図の付与日数よりも少ない日数が付与されます。また、いわゆる正社員から再雇用社員に転換したとしても、原則として継続勤務していると判断し、上図のように継続勤務年数に応じて年休が付与されます。


2019年4月1日から「5日間の年休取得義務化」が企業に義務付けられたようですね。


はい。企業は社員一人ひとりの年休取得日数を管理しなければなりません。労働者自身に取得を促したり、企業が個別に時季を指定したりするなどで5日間を達成しなければなりません。


労働者は好きなタイミングで年休を取得することができるのですか?


原則として、年休は労働者が請求して取得するものであり(これを時季指定権と言う)、企業はそれを拒むことはできません。しかし、労働者が年休を取得することが事業の正常な運営を妨げる場合には、指定された時季を変更することができます(これを時季変更権と言う)。


事業の正常な運営を妨げる場合とはどのような場合ですか?


実務的には個別具体的な状況を判断していくことになりますが、過去の裁判例によると、「当該労働者の労働が必要不可欠であって、代替要員の確保が困難なとき、事業の正常な運営を妨げると言える」と判断された例もあります。


労働者の年休取得が事業の正常な運営を妨げることがないよう、企業は計画的に年休の取得予定などを社員と共有しておくのがよさそうですね。


そのとおりです。法律で5日間の年休取得が義務化された以上、担当者が休みでも日常業務がしっかりと回るような仕組みづくりをする責任が企業にはある、と言えるかもしれません。それでは、本日の講義はここまでにして、次回は、その他の法定内の休暇・休業について解説していきます。


教授、本日はありがとうございました。


今回の連載内容は、2017年6月22日の講義を参考に執筆しました。
東京労働大学講座「労働条件3」(竹内寿 早稲田大学法学学術院教授)

※東京労働大学講座は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年度開催している、労働問題に関する知識の普及や理解の促進を目的とした講座です。今年度で66回目を数え、これまでの修了者は27,000人を超える歴史と伝統を誇る講座です(2018年1月時点)。


本連載は、下記の当社コンサルタントが順次、執筆いたします。
菊谷寛之(代表)
渡辺俊(中小企業診断士)
田中博志(中小企業診断士)
津留慶幸(特定社会保険労務士)
古川賢治(社会保険労務士・中小企業診断士)

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