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昭和・平成型の企業パラダイムはどう変わるか

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2018年2月13日(東京)2月14日(大阪)開催・春季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

【人材マネジメントを展望する】

 いま、日本の雇用・人事・組織に静かなパラダイムの転換が起きつつある。
 歴史を遡ると、昭和型の日本企業は、高度成長期から安定成長期にかけて新卒採用・終身雇用・年功処遇・職場小集団を軸とする日本的経営の仕組みを作りあげ、鉄鋼・電機・自動車などの競争力のある輸出産業が経済成長をけん引した(第Ⅰ期)。
 平成に入ってバブル景気が崩壊し、グローバル経済化のもとで成長率がピークアウトしコスト競争が激化すると、高コストの正社員の年功処遇をいかに修正し、人件費を圧縮するかが経営の至上命題となった。
 成果主義の導入や賃金水準の抑制、派遣社員やパートタイマーなどの非正規雇用の増大、企業グループ内下請け構造の拡大が進み、今もなおこの動きは続いている(第Ⅱ期)。
 賃金の厳しい抑制と人件費の圧縮は、生産年齢人口(平成9年がピーク)の減少と重なって大規模な消費の低迷とデフレ・スパイラルを招き、企業の海外進出と国内雇用の空洞化、中小企業や地方経済の衰退、ひいては少子化の遠因ともなった。
 しかし今、昭和型や平成型のパラダイムにとらわれず、新たな活力のある働き方を実現し、成熟社会の潜在需要やAIに象徴される先端需要、世界を視野に入れたハイエンドな需要に効率的に応えようとする新世代の企業群が急速に台頭しつつある。
 第Ⅰ期・昭和型企業の関心事が経済規模の拡大・成長だとすれば、第Ⅱ期・平成型企業の最大の関心事はコストダウンによる資本収益率の増大と内部留保である。
 これに対して、第Ⅲ期・脱平成型の企業の関心事は、独自の能力で社会の需要に応えていく持続的な内部成長型の組織の実現であり、そのための人材開発である。
 昭和型企業は、人件費をあたかも企業成長のためのガソリンとみなし、時には湯水のごとく使い続けてつまずきのもととなった。
 負の学習を経た平成型企業にとって、人件費は資本蓄積のために圧縮すべきコストであり、時には経営の安全余裕を脅かすリスクでさえある。その削減のためには、人の働きの過酷な収奪をも当然視する悪しき風潮が生まれ、「ブラック企業」がはびこる原因となった。
 第Ⅲ期・脱平成型の企業の特長は、経営者・従業員が信頼関係を深めて創造性を発揮し、仕事の満足度を高め、組織の成長とともに働く人たちがキャリアを伸ばしていくための健全な必要経費として、さらにいえば戦略的な人的投資として人件費の有効活用を考えていることである。
 多様な従業員の内発的な成長と貢献による仕事のレベルアップは顧客満足度を高め、卓越した事業の成長と収益力の向上をもたらす。その果実が、さらなる堅実な雇用の拡大と人的投資の原資となるのである。
 来年5月には天皇が退位され、元号が変わろうとする中で、オリンピック需要がピークを迎える。新しい社会の動きに敏感な経営者は、いまこそ独自能力を伸ばす勝機ととらえて、積極的な人的投資を加速することは間違いない。
 これからは、同一労働同一賃金に前向きに取り組み、正社員か否かという枠にとらわれず、働く人たちが時間や場所、キャリアを自分で選択することを許容し、多様な人材がお互いにリーダーシップを発揮できるよう支援し合い、働く人たちに真の活躍の場を提供する企業こそが、高い優位性を占める時代がやってくるであろう。

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