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市場と対話し続ける企業の条件

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2017年11月8日(東京)開催・秋季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

【人材マネジメントを展望する】

 どんな組織も、組織の目的を達成する成果を上げ続けることなしには、永続できない。
 企業の場合は、顧客を創造し、経済的成果を上げ続けて社会を支えるという大きな目的のために、働く従業員にキャリアと生活の基盤を提供し、顧客に確かな効用・価値を提供し続けていかねばならない。
 スタートアップではまず、市場に機会を見出し、顧客のニーズ・ウォンツに応える商品・サービスの開発に知恵を発揮できるかどうかが決定的に重要である。
 次に、不断に顧客の評判を確かめ、商品・サービスや生産プロセスをイノベーションし続け、顧客が欲しいときに望みの商品やサービスが確実に供給できるように、安定的かつ集中力のあるオペレーションを維持していかねばならない。こうして組織の効果性と能率を、すなわち生産性を高めていくことが組織存続の条件となる。
 いうまでもなく、顧客の評判の最も近くにいる者は、実際に商品を作り、販売し、サービスを提供している当の従業員である。彼らが顧客の根源的なニーズやウォンツにどれだけ敏感になり、自社商品の用途や顧客満足にどこまでコミットできるかで、会社の商品力やサービス品質は格段に違ってくる。
 また日々の需要の変動や納期、顧客の利便性に気を配りながら、どうすれば生産的に仕事ができるかを考え続けているのも、当の現場で働く従業員である。
 経営者や事業の責任者は、このような現場で活躍する従業員一人一人とコミュニケーションを深め、事業の目的に対する思いや価値観を共有し、真の信頼関係を築いていかねばならない。彼らのリーダーシップを最大限尊重しつつ、商品・サービスや仕事のやり方についての評価基準を丹念にすり合わせていく必要がある。
 このような経営のバックアップがあって初めて、現場の従業員は顧客に責任を果たし、顧客の情報に鋭敏に反応できるようになる。顧客のニーズやウォンツがどのように変化し、どれだけ顧客満足を提供できているかに関心を集中できるのである。
 彼らは、少しでも顧客満足に不安要因があれば、いち早く問題点を洗い出して自主的に改善・改良を重ね、商品・サービスの陳腐化を防ぐだろう。成功体験に満足するだけでなく、失敗を真摯に振り返り、もっと工夫できること、試してみるべきことに思考・行動を集中できるようになる。このような自律的・意欲的な従業員の働きによって、組織の知覚力・学習力・行動力を高め、顧客の現実にキャッチアップし、市場と対話できる企業だけが、複雑に変化し流動化する社会でもリーダーシップを発揮できるのである。
 人口減少と社会の高度化が進む中で、間違いなくこれからの経営は、働く従業員にとっての企業価値を競いあう時代になっていく。自分で会社を選ぶ人たちの存在感がますます強まり、顧客満足の体感を通してどれだけ仕事の満足を経験できるか、仕事の挑戦や成長を通してどれだけ人間力を高めていける職場か、成果に見合う報酬によってどれだけ生活力を高め、キャリアとライフサイクルを支える力のある組織かが評価されるようになる。
 長く存続できる会社の条件として、これからはこのような意識の高い人たちに選ばれる会社になることが必須であるように思われる。

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