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評価制度の最新トレンドとこれからの管理者のあり方

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2017年6月6日(東京)開催・夏季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

【人材マネジメントを展望する】

 採用・配置・登用・報酬などの人事イベントや、上司による人材の育成・活用を推進するには、個々人の能力適性や人材の評価(アセスメント)と、仕事の習熟度や貢献度の評価(パフォーマンス・レビュー)がともに欠かせない。
 一般に「評価」という場合は、仕事の実績を評定して、賞与の配分や昇給、昇格の決定に用いる後者の評価を指す。評価項目としては、①行動・取り組み姿勢・意欲、②目標の達成度(業績・成果等)、③職務遂行能力などに大別される。

 ①行動評価の項目は、(1)業績・成果を上げるために必要なコンピテンシー、(2)組織秩序のために必要なルール、マナー等の規範行動、(3)組織の価値観や企業文化に沿ったバリュー行動などが取り上げられることが多い。

 ②目標達成度の評価は、いわゆる目標管理(MBO)を業績評価に応用したもので、目標の設定方法によってタイプの違いがある。「成果主義」が導入された当初は、上司が組織目標を個人に割り付け、本人に通知する「ノルマ方式」が多かったが、仕事への自主的な取り組みや参画意識をかえって阻害する弊害が強く指摘された。
 近年は組織目標から落とし込み、上司と本人が面談したり、チーム内の話し合いで目標を決める「ブレイクダウン方式」が主流になっている。ただし上司の期待を一方的に押しつけたり、目標を心理的に強制するやり方では、ノルマ方式と変わらない。本来は、組織目標を共有したうえで本人が自分で目標を考え、上司と面談で話し合って決める「ボトムアップ方式」を基本とするのが本筋だろう。

 ③職務遂行能力の評価は、もともとは(A)部門・職種ごとに具体的な課業を洗い出し、その習熟度合を評価するのが教科書的な手法である。しかし実際の運用は非常に手間がかかることから、多くの企業では(B)積極性や協調性、折衝力、判断力などの抽象的な評定項目について人事考課を行う簡便法で済ませてきた。
 しかし近年、評価制度の見直しが進む中で、(A)は目標管理による業績評価に、(B)は行動評価に置き換わりつつある。評価制度の運用を成功させるポイントは、第1に評価基準や運用ルールなどの開示と説明、第2に目標設定・進捗管理・振り返りと評価・フィードバックを行う管理者のマネジメント能力の育成、第3にメンバーの内発的な意欲や創発的な思考を尊重し、自主的な行動力を信頼する管理者自身の仕事観・人間観の開発であり、日々の業務やコミュニケーションを通したその実践である。

 働く人たちが所属する組織の目的・ゴールに共感し、信頼できる上司や仲間から活躍が期待されれば、それに応えたい意欲が沸いてくるのは自然なことである。期待に応える成果を上げ、その評価を実感できれば、働く人の満足感はやがて仕事の醍醐味となる。
 この会社をフィールドに職業ライフの目標を探求して、活き活き働き続けたいという内的キャリアの意識がいったん芽生え、支援的な人間関係や仕事の機会が与えられると、一人ひとりの成長意欲は自律的に強化され続ける。
 若者を育て、シニアの能力を引き出す駆動力は、評価を通して真剣にメンバーに向き合おうとする管理者自身の成長である。彼らに対する支援を惜しんではならない。

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