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事業コンセプトを実行するクリエイティブな組織文化とは

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2018年6月6日(東京)開催・夏季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

【人材マネジメントを展望する】

 今は世界的な大企業となったアップルもアマゾンもスターバックスも、最初は小企業にすぎなかった。それが今日の隆盛を築いたのは、突飛とも思える需要に応えようとする尖った事業コンセプトを起点に、ユニークなイノベーションと果敢なマーケティングによって猛スピードで顧客を創造し、利益を増やし続けたからである。
 また世界には、さほど資金力や収益力が大きくなく動きも遅いが、何百年にもわたって堅実経営を続ける伝統企業も少なくない。その時間軸の長さと驚異的な持久力は、ニッチ市場に徹底的にこだわった独自能力の蓄積と、時代を超えて磨き抜かれた商品・サービスの巧みなポジショニングがあってこそ可能だったといえる。
  まったく対極的なこれらの成功企業に共通するものといえば、他の追随を許さない知識やノウハウを市場のニーズや顧客のウォンツに鮮やかに結びつけ、確かな顧客価値を実現する組織的なスキルであり、その強みを発揮する個性的なスタイルということになるだろう。そしてアップルやアマゾンのように社会の需要そのものに変化を起こせば、巨大な世界市場をつかむに至る。逆に規模は小さくとも、社会や地域の多様性を支えるうえで不可欠な需要に丁寧に応え続けていけば、世代を超越して、細く長く事業を維持することができるようになる。
 金余りの時代になって、このようなコア・コンピタンスを具体的な目標に転化できる企業には、必要な資金力や生産財が自然と集まるようになった。いまや企業経営は、むしろ事業上の知識や人材の確保、市場のニーズや顧客のウォンツをめぐる知恵比べの時代になったのである。
 いかに情報を収集し分析・活用するかはもちろんのこと、新たなものの見方で事業コンセプトを再定義し続け、旗幟(きし)を鮮明にした目標を掲げて顧客や人材を引き付ける情報戦が、これまで以上に重要になっている。
 わが社はどの市場で、「本当のところ、誰に何を売っているのか」(楠木建)という、製品やサービスの本質的な顧客価値を明確にすることは、事業の有効性と組織の方向性、そこで働く人たちの意欲と動機、組織の潜在的な成長力をも左右する強力なインパクトがある。例えばスターバックスは、職場や学校、家庭に代わる「サードプレイス」というコンセプトでコーヒーショップの空間とバリスタ店員のサービスを再定義し、文化の壁を越えて全世界に出店するという偉大な目標を達成した。


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 では、このような組織の使命を分かりやすく表現し、訴求力のある最適な目標を掲げる事業シナリオの構想力や、環境の違いを乗り越えてコンセプトを実行し、目標を達成する強靭でクリエイティブな組織はどうすれば実現するのだろうか。
 いうまでもなく人々のパワーがその源である。個々のタレントも大事だが、それ以前に、働く人たちの間で顧客の潜在的なニーズを絶えず探求し、課題を真摯に受け止め、目標を共有し、最善の解決に向けて対話し続ける良質な人間関係が何にもまして重要である。
 多様性に富んだ複雑な世界のありようや、変転し続ける社会の動きの深部に感受性を働かせ、自分たちの仕事の普遍的な意味や、この会社で働くことの目的をともに確認し合える相互理解と尊重の文化の中でこそ、全体観を持ったクリエイティブな人材が育ち、鍛え合って、その真の力を発揮するのである。

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