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人々が自然に活躍できる組織をつくるには(2013.11)

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2013年11月12日開催・秋季定例研究会ブックレット「はじめに」より)

【人材マネジメントを展望する】

 仕事をするとき、私たちは誰もが一種の二重人格者になることにお気づきだろうか。

 まず、誰もが要領よく仕事を覚え、短時間で効率的に成果を上げることを仕事に求める。
 そこでは段取りや能力の集中が当然とされ、それに対して応分の報酬が払われる。
 成果が上がれば醍醐味を感じ、それが叶わないと無駄や徒労感を感じる。それは知恵と時間と歩留まりが支配する「経済」の世界である。

 次に、私たちは仕事に面白みや達成感、他者とのつながり、さらには社会的な評価をも求めている。
 一言でいえばこれは個性的な「意味」の世界である。
 私たちは意味ある仕事に惹かれ、意味のない仕事には受け身になる。
 意味づけをするのは、仕事をする本人であって、他人は意味を強制できない。意味さえ感じれば、人はいつまでも成長したいと願う。
 しかし無意味な仕事に長時間従うことには耐えがたい。

 仕事の経済と意味とはお互いに響き合う関係にある。
 経済的な成果を上げても、仕事に意味が見出せなければ心は空虚だ。
 逆にいくら意味を込めても、不経済なことは結局は長続きしない。
 経済的な成果と個性的な意味とを共鳴させ、オンリーワンの使命感と働きがいを持つ人こそ、真の仕事の成功者である。

 組織も同じであろう。

 事業が経済的に成功するには、何のために社会にどのような具体的な価値を提供するかという、働く人々の共有ビジョンにもとづく不断の意味づけが欠かせない。
 社会のニーズや人々の隠れた欲求に意味を感じ取り、顧客が買いたいと思う商品の創造や改良に情熱を傾けるクリエイティブな組織でなければ、経済的成功はおぼつかない。

 市場競争は、ごく単純にいえば、経済的にも意味的にもすぐれた商品を人々がどれだけ生み出したか(今日の収益力)、これからどれだけ生み出せるか(明日の成長力)という数とスピードの勝負である。
 そしてその数とスピードは、グローバルな知識の普及速度に比例してますます速まる傾向がある。

 このような経済と意味とを重ね合わせた、複雑でスピーディな活動の勝者となるのは、お互いにつながり、支え合おうという人々の自然な欲求をかなえ、個人の力を大きく超える「集合知」のパワーを継続的に発揮できる組織だけである。

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 どんなに優秀な人であっても、一人の人間の視野や思考は限られている。
 誰もが自らのメンタルモデルや人間関係にとらわれており、一人の人間が意味づけできるカバー領域には限界がある。
 これはどんな権威や専門性をもってしても解決しない。

 しかし自分の無知や思考の盲点に対して謙虚になり、ひとたび他人を賢者と扱う「関係」を作れることを知ったとき、私たちは一人ひとりが「集合的な知恵」の境地に移行できるのだ。
 そこでは仕事の意味を飛躍的に豊かなものに変え、全体との調和を取りながら相互に調整しあう、信頼関係に基づく自律的な働きが可能になる。

 すべての構成員が、自分の持ち場で組織の内外に五感を働かせ、知識や気持を通わせ、連携をとって生産的に活動できるようになれば、お互いが組織の主人公となって自然に活躍できるようになる。
 これまでの緻密なルールや調整の手続きは多くが無用のものとなり、オープンなコミュニケーションが組織を動かすようになる。

 このような真に生産的な組織を求める気持ちさえあれば、傾聴と対話の場を設け、人々の新たな関係を紡ぐことは非常に大きな意味を持つ。
 それを組織の新たな作法とし、集合的な振り返りと探求を続けていけば、思いがけない組織の変化が起きる。
 関係の変化は、やがて人々の思考そして行動の変化へとつながっていくからだ。

 一人ひとりの「働く理由」と会社の「存在理由」とが重なるところに、人材が活躍できる場とチャンスが自然に広がる。

【人材マネジメントを展望する】は、プライムコンサルタントが主宰する「成果人事研究会」の研究会資料「プライムブックレット」の内容の一部をご紹介するものです。

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