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事業場外みなし労働時間制について-4-(連載第98回) 

【中川恒彦の人事労務相談コーナー】

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(2014年10月)

Q最近、旅行添乗員の業務について事業場外のみなし労働時間制が適用されないという最高裁の判決が出されたようです。
 旅行添乗員の仕事は、ほとんど全部といってもいいほど、事業場外の仕事であると思うのですが、なぜみなし労働時間制の適用がないのでしょうか。
 当社でも、添乗員とは違いますが、大半の時間が事業場外である営業担当の従業員がいますので、みなし労働時間制の適用範囲について説明いただければ幸いです。

A 労働基準法が定める事業場外のみなし労働時間制は、

イ 労働時間の全部または一部を事業場外で業務に従事し、
ロ 使用者の指揮監督が及ばないため労働時間を算定することが困難な場合
に適用されます。

 イ、ロの双方に該当する場合には、
(1) 原則として、所定労働時間労働したものとみなされます。
(2) しかし、その業務を遂行するためにはとても所定労働時間では終わらないと思われる場合には、その業務に通常必要と思われる時間労働したものとみなされます。
(3) (2)の場合に、必要と思われる時間について労使協定を締結したときは、労使協定で定める時間労働したものとみなされます。
(上記説明は、労働基準法第38条の2の規定をわかりやすく変えたものです。)

〔解説〕

前回に引き続き、事業場外みなし労働時間に関する裁判例を紹介します。

(5)事業場外労働時間は把握できるとされた例 (レイズ事件 平成22.10.27 東京地裁判決)

【事件の概要】
 不動産業を営む被告会社の営業社員で、みなし労働時間制を適用されていた原告が、みなし労働時間制は適用されないとして割増賃金の支払いを求めた。
【判決要旨】

 使用者は、本来、労働時間を把握・算定すべき義務を負っているのであるから、本件みなし制度が適用されるためには、例えば、使用者が通常合理的に期待できる方法を尽くすこともせずに、労働時間を把握・算定できないと認識するだけでは足りず、具体的事情において、社会通念上、労働時間を算定し難い場合であるといえることを要するというべきである。
 原告が従事した業務の一部又は全部が事業場外労働(いわゆる営業活動)であったことは認められるものの、原告は、原則として、被告に出社してから営業活動を行うのが通常であって、出退勤においてタイムカードを打刻しており、営業活動についても訪問先や帰社予定時刻等を被告に報告し、営業活動中もその状況を携帯電話等によって報告していたという事情にかんがみると、原告の業務について、社会通念上、労働時間を算定し難い場合であるとは認められない。
 また、原告は、営業活動を終えて被告会社に帰社した後においても、残務整理やチラシ作成等の業務を行うなどしており、タイムカードによって把握される始業時間・終業時間による限り、所定労働時間(8時間)を超えて勤務することが恒常的であったと認められるところ、このような事実関係において、本件みなし制度を適用し、所定労働時間以上の労働実態を当然に賃金算定の対象としないことは、本件みなし制度の趣旨にも反するというべきである。
 なお、被告は、営業担当者は、営業成績を上げれば問題はなく、営業外勤手当や報奨金によって待遇しているなどと主張するが、営業成績の有無・多寡にかかわらず、実際の労働時間に対する賃金が支払われるべきことは至極当然であって、被告の前記主張は、本件みなし制度の適用の有無に関係しない事情を指摘するものにすぎない。

 不動産業を営む会社の営業社員について、タイムカードの打刻、事前の訪問先、帰社予定時刻の報告、営業活動中の携帯電話よる報告、帰社後の残務整理等の状況から労働時間を算定し難い場合に

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