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休日に携帯電話の所持を義務づけたとき割増賃金を支払うべきか(連載第82回)

【中川恒彦の人事労務相談コーナー】

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(2014年2月)

Q顧客からの要請があった場合、必要に応じて呼び出したり、顧客先まで足を運んで処理に当たらせるために、営業担当やメンテナンス担当の社員に対し、所定時間外の夜間や休日に携帯電話の所持を義務づけた場合、労働者は会社の指揮監督下に入るのではないかという疑問があります。
 もしそうだとすれば、携帯電話の所持を義務付けられている時間は労働時間として賃金支払の対象となるのでしょうか。
 しかし、ただ携帯電話のスイッチを入れておくだけのことで、賃金支払の対象にしなければならないというのもいかがなものかという気がしますが、どのように考えるべきでしょうか。

A 拘束の度合い、呼出しの頻度にもよりますが、その度合い、頻度が低い場合には、労働時間として取り扱う必要はないと考えられます。

〔解説〕

1 待機時間等に関する一般的考え方

 着替え時間や準備時間が一般的に労働時間に含まれることについては、前回、前々回において説明しましたが、使用者からの具体的指示を待って待機している時間、手待時間等が労働時間に含まれるか否かについて、行政(厚生労働省労働基準局)の考え方はおおむね次のようなものです。

(1)行政の考え方(厚生労働省労働基準局編 労働基準法コンメンタール(上)399頁より)

 「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう。
 休憩時間は労働時間に含まれないが、労働者が労働から離れることが保障され、自由に利用できるものでなければならない。
 現実に作業はしていなくても、使用者からいつ就労の要求があるかも知れない状態で待機しているいわゆる手待時間は休憩時間ではなく、労働時間である。
 したがって、貨物の積込係が、貨物自動車の到着を待機してい る時間(手待時間)は労働時間であり、また、休憩時間中電話当番、来客当番をさせ れば、実際に電話、来客がなくてもその時間は労働時間となる。

 また、手待時間、待機時間に関連し、ビル警備員の夜間仮眠時間について、最高裁は次のようにいっています。

(2)最高裁の考え方(大星ビル管理事件 平成14.2.28判決より)

 労基法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない仮眠時間(以下「不活動仮眠時間」という。)が労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである。
 そして、不活動仮眠時間において労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていてはじめて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。

 この判決は、ビル警備員が仮眠時間中、緊急事態の発生や警報、電話等への対応が義務付けられている場合は、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、実作業に従事していなくても労働時間として取り扱うべきであるという考え方です。
 上記(1)と(2)は特に対立する考え方ではなく、ほぼ同様の趣旨であると考えられます。

2 時間外・休日等の携帯所持についての考え方

 以上の一般的な考え方を前提に、時間外・休日等の携帯所持について考えてみましょう。

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