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労働者を即時解雇するには労基署長の認定が必要か-5-(連載第127回)

【中川恒彦の人事労務相談コーナー】

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(2016年1月)

 今回も、前回に引き続き、即時解雇が可能となるような「労働者の責に帰すべき事由」に関連する裁判例を紹介し、さらに即時解雇処分の採否について言及します。(ホームページ編集部)

Q 当社の営業担当に取引先としばしばトラブルを起こす者があり、これまでも2度ほど始末書をとったことがありますが、この度重要な取引先とトラブルを起こし、その取引先への釈明のためにも、懲戒解雇として即時解雇にしたいと考えています。
 ところが、当社の就業規則の懲戒解雇規定では「懲戒解雇の場合は、労働基準監督署長の認定を受けて即時に解雇する。」と規定しています(解雇予告手当も支払いません。)。
 当社で規定しておいて聞くのもはばかられますが、労働基準監督署長の認定を受けない限り、懲戒解雇として即時解雇することはできないのでしょうか。

A 労働者を解雇する場合には、30日前に予告するか解雇予告手当を支払うことが必要ですが、労働者の責に帰すべき事由がある場合には、予告および解雇予告手当支払いの必要はありません。
 労働基準法は労働者の責に帰すべき事由の有無について労働基準監督署長の認定を受けなければならない旨定めていますが、労働基準監督署長の認定と即時解雇の効力とは直接の関係はありません。
 したがって、認定を受けなくても、予告手当を支払わない即時解雇が当然に無効になるわけではありませんが、そのような即時解雇をして認定を受けていない場合は、罰則の適用がありますので、認定を受けるか予告解雇をする等の方法を検討すべきでしょう。

〔解説〕

 前回から「労働者の責に帰すべき事由」に関する裁判例を紹介していますが、今回も2件ほど紹介するとともに、即時解雇という処分の採否についての考え方を整理します。

7 「労働者の責に帰すべき事由」に関する裁判例

4.プログラミング能力の詐称は労働者の責に帰すべき事由に該当するとされた例(グラバス事件 平成16.12.17 東京地裁判決)
〔判決要旨〕

 原告は、JAVA言語プログラマーとしての能力に係る経歴を詐称して、被告に採用されたもので、かかる経歴詐称を理由に被告を解雇されたものであるから、本件解雇は、労働基準法20条1項ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」に基づく解雇に該当するというべきであり、解雇予告の除外事由がある。
 この点、被告の就業規則には、除外認定を受けたときは、解雇予告手当を支給しない旨定められているところ、被告が本件解雇について解雇予告の除外認定を受けた事実はない。
 ところで、労基署長による解雇予告の除外認定は、行政庁による事実の確認手続にすぎず、解雇予告手当支給の要否は、客観的な解雇予告除外事由の存否によって決せられ、使用者は、除外認定を受けられなかったとしても、有効に即時解雇することを妨げられず、逆に、除外認定を受けた場合であっても客観的にみて除外事由が存しない場合には、解雇予告手当の支払義務を免れるものではないと解される。
 そうすると、前記就業規則の定めは、労基署長の除外認定を受けていないものの客観的に解雇予告の除外事由があると判断された場合においても、被告が解雇予告手当を支払うことを定めたと解するのは不合理であり、就業規則を定めた被告の合理的意思に反するというべきであるから、客観的に解雇予告の除外事由がある本件においては、就業規則の定めにかかわらず、被告が原告に対して解雇予告手当を支払う義務はないと解するのが相当である。

 コンピュータソフトの研究開発、制作等を行う被告会社は、ネット関連プログラム開発で用いられるJAVA言語を操られるプログラマー契約社員を募集し、原告を採用しましたが、原告は

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