第30回(最終回) マネジメントと動機づけ(3) 個々人を尊重する
前回は、マネジメントによる階層的な動機づけのポイントについて解説しました。
今回は、金銭的・心理的な強制や操作に頼るのではなく、本当の意味での自発的な「動機づけ」のためには、マネジメントとして何が必要かについて述べています。
第30回(最終回) マネジメントと動機づけ(3) 個々人を尊重する
(1) 限界を迎えた金銭報酬による動機づけ
社会が豊かになり、物財が行き届いた成熟社会では、アメとムチによるマネジメントは意味を失いつつあります。
定期昇給で毎年給料を上げ続け、働く人の意欲を長期的に引き出そうという日本独特の手法がそれなりに機能したのは、バブル景気まででした。
バブル崩壊後、年功的な賃金制度や能力等級制度は多くの企業にとって維持しきれないものとなり、企業はその修正を進めてきました。
しかし、賃金を支払う企業の側から見れば、その負担は依然として重くのしかかっており、適切な人件費計画を立てることのできる賃金制度を必要としています。また、受け取る従業員の側から見れば、金銭報酬に対する期待は未だに大きく、公正な賃金制度を求めています。
どちらの側から見ても賃金制度の与える影響はなお大きく、軽視できるものではありません。
一方で、企業が従業員に大きな金銭報酬を支払ったとしても、必ずしも従業員のやる気や満足につながらなくなっています。

