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人事コンサルティングの事例

「思考プロセス」を活用した経営戦略の検討・策定

お客さまのプロフィール
社名 S社 業種 製造業
従業員 正社員約200名 売上高 約35億円

■ 概要

 S社は創業50年の精密部品製造業。専門分野に特化し、主要顧客との長期取引関係の中、堅実・安定な事業を運営してきました。しかし、市場環境の急激な変化と中核人材の高齢化の両面から全社戦略の見直しが急務となりました。そこで、当社が経営幹部をナビゲーションし、さまざまな問題を引き起こしている根本的な原因を解明し、抜本的な解決策を見出すお手伝いをしました。

 数カ月の取り組みの結果、解決までの具体的な実行計画ができあがり、いよいよ現場を巻き込む段階になりました。改革リーダーのY専務は、「真の問題がはっきりわかり、根拠と実現性のある解決プランを持てたので、自信をもって全社員を動員できる」と意気揚々です。

■ 背景と課題

 今回の戦略づくりに先だって、同社は人事制度改革を行い、人事評価には目標管理の仕組みを採用しました。目標管理を成功させる上で最も重要なポイントは、「組織の成果につながる目標」を立て、実行に移すことです。そのためには強固な全社戦略が必要です。Y専務は将来にむけて骨太の戦略が不可欠と考え、この取り組みを決心されました。

■ コンサルティングの内容

 戦略策定の手法は経営書にあふれていますが、やってみると「ピンとこない」ことも多く、どんな方法でアプローチするかという選択が重要です。当社ではTOC(制約理論,E.ゴールドラット博士)の「思考プロセス」という手法を用いて検討を進めました。これは、身近な問題意識を出発点とするのでとても現実味が高いうえ、根深い問題をあぶり出し、抜本的な解決策を導く上で極めて実践的です。また、高度な経営マターを扱うので、検討チームはY専務とM常務の2名で編制しました。

  まず、現状の問題を洗い出しました。「残業が多すぎる」「設備のトラブルが多すぎる」「生産の優先順位の変更が多すぎる」などがあがりました。これらを見ると個別に解決したくなりますが、「対症療法的な対応」では本当に良い状況は生まれません。個別の打ち手を考える前に現状をよく理解する必要があります。

 そこで、各問題を「原因と結果」の関係でつないで今の悪い状況の構造を解き明かし、さらに根本的な原因を突き止めました。一般に組織の問題の多くは、一つ(または少数)の「根本原因」から引き起こされます。多くの根本原因は、「『ああしたい』、一方で『こうしたい』」という対立(ジレンマ)の構造になっています。

  S社では、(ア)「従来の実績ある方式で事業運営を続ける」のか、(イ)「新しい方針・仕組みで事業を運営する」のかというジレンマでした。読者のみなさんは市場環境の急激な変化に対応できる事業構造改革を進めるには、当然「(イ)を選ぶべき」と思われるでしょう。しかし、そう思い切れない理由がありました。それは、従来方式こそ長期取引先である主要顧客との関係の基盤だったからです。言いかえると「従来方式」がS社の強みだったのです。
「これまでの強みが、今後の弱みになるかもしれない―。しかし、決別もできない。」
経営の本質的なジレンマが具体的に浮かび上がった瞬間でした。

 「主要顧客の要求に確実に応えるため」には(ア)を重視する必要があります。他方、「より強い企業体質をつくるため」には(イ)も欠かせません。いずれも避けて通れない重要なニーズがあります。S社は、この2つニーズを同時に満たす方法を考えねばなりません。それを探るために思考プロセスの方法を使って「ジレンマの構造」を掘り下げて分析しました。

 そこから導き出された結論は、「主要顧客の要求に今まで以上に確実に応える組織体制をつくる」ことと「若手管理職を事業戦略策定に参画させる」中から、「新方針・事業戦略を構築するノウハウを獲得する」というものでした。主要顧客を重視するというニーズに真剣に応えることを通して、経営環境の変化に対応できる強靭な企業体質を作るという、根本的な解決策が導かれました。これは、小手先で「残業時間を減らす」「設備のトラブルを防止する」などと違い、長きにわたって効果を生み出す、まさに骨太の戦略です。

 一方、骨太であるがゆえに「絵に描いた餅」に終わる可能性もあります。それを避けるために現実的な実行計画を立てました。具体的には、解決までの道のりを見通し、途中で遭遇する障害をリストアップします。リストアップした障害を乗り越えた状態を中間目標とします。この中間目標を同じく「原因と結果」の関係で順番に並べると実行計画になります。とてもシンプルで有効な方法です。障害を丁寧に洗い出すことでヌケ・モレがなくなります。順番を論理的に整理することで、手待ちや手戻りを防ぎます。

 現在、考案した解決策と実行計画を現場に落とし込む手順を検討しているところです。社内で関係者の合意を得るには、「確かに問題が存在している」ことから理解してもらう必要があります。ここでも「思考プロセス」を活用し、無理なく確実に協力を取り付ける手順を組み立てようとしています。

■ 成果

  S社の抜本改革に向けた当社コンサルタント(TOCICO認定Jonah)の支援を紹介しました。経営戦略の策定段階で得られた成果は次の3つです。Y専務とM常務が、
a)現在の状況を鮮明に理解できたこと。
b)さまざまな現象をありのままに観察し、その構造を冷静に見抜く眼力を身に付けたこと。
c)成功すると確信できる改革プランを持ったこと。

 社内改革の実行はこれからであり、経営上の成果はその先ですが、改革リーダーのY専務がa),b),c)をあわせ持つことができたので、必ず大きな成果を生み出せると期待しています。当社も引き続き、その実現にむけて一層の支援をしていきたいと考えています。

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